2008年11月30日

11月30日


      CXT

鳴り飛ばせ、鳴り狂う鐘の音よ、荒れた大空へと、
  飛んでゆく雲を、また冷たい光を。
  今年も今宵で逝ってしまうのだ。
鳴り飛ばせ、鳴り狂う鐘の音よ、この年を逝かしめよ。

鳴り飛ばせ、古きものを、鳴って迎えよ、新しきものを。
  鳴りわたれ、楽しき鐘よ、雪の野面を渡りゆけ。
  今年も暮れようとしているが、 もう逝かしめよ。
鳴り飛ばせ、この世の虚偽を、鳴って迎えよ、真実を。

鳴り飛ばせ、心を滅入らせる悲しみを、
  もはやこの世にいない人々に対する悲しみを。
  鳴り飛ばせ、貧富の確執を、
鳴って迎え入れよ、人類全体の救済を。

鳴り飛ばせ、おもむろに滅びゆく大義を、
  昔ながらの党と党との闘争を。
  鳴って迎えよ、更に品格ある生活様式を、
また、よりよき習慣を、より高潔な法律を。

鳴り飛ばせ、この世の窮乏、心配事、罪業、
  そして誠実さを失った冷酷を。
  鳴り飛ばせ、鳴り飛ばせ、わが悲しき調べを、
鳴って迎え入れよ、更に素晴らしき詩人の歌を。

鳴り飛ばせ。地位や出自の誤てる高慢を、
  市民同士の中傷や悪意を。
  鳴って迎え入れよ、真実や正義を愛する心を、
鳴って迎え入れよ、善を愛する大衆の心を。

鳴り飛ばせ、昔ながらの邪な腐敗を、
  鳴り飛ばせ、人の心を狭くする金欲を。
  鳴り飛ばせ、いにしえの幾多の戦争を、
鳴って迎え入れよ、久遠に続く平和を。

鳴って迎え入れよ、雄々しき、自由なる人物を、
  更に心の広い、優しき手をもつ人物を。
  鳴り飛ばせ、地上の暗黒を、
鳴って迎え入れよ、やがて来るべきイエス・キリストを。



対訳テニスン詩集

著者名:テニスン(著)
西前美巳(編集)
出版社:岩波書店
出版年:2003.04
ISBN :9784003222638

posted by チョコちょこ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 11月
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